「呉橋がいなくなった」
店長ががっくりと項垂れて言ったその名前。鐘子は、知らないはずだったのに、それがフェルの本名なのだとすぐにわかった。
「出勤、増やせますよ?」
鐘子が言うと、店長は首を振った。
そうなるだろうとわかってはいた。
フェルを求める客と、鐘子に話をしにくる客の層が全く違う。
鐘子は、なんとなく。
フェルはもうどこにもいない気がしていた。
もし本当に彼女が、生まれる瞬間がわかるんなら。
彼女自身に宿るものも見えるだろう。
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鐘子が見たこと、聞いたこと。説明がつかないことが、確かにある。
「呉橋がいなくなった」
年 齢 | 35 |
誕生日 | 5月26日 |
地 域 | 東京都 |
職 業 | 公務員 |