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シーズン

湯河原さんの足元を、何かが転がっていった。

瞬時に、彼女はそれをねずみと思った。

「うちの地方は“時期”があって、だから別にそれほど驚きもしなかったんです」

いちいちねずみごときで驚くほどでもないくらい、日常茶飯事らしい。

が。

「ねずみじゃなくて、よく見たら」

それは肉塊。一部からは髪の毛、目玉も見える。
転がっていく肉の塊。

「あぁ、そっちの“時期”でもあるよな、って」

やはり彼女は驚かなかったらしい。

何の“時期”なのか、聞いてもわかりそうになくて、鐘子は聞けなかった。
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