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ミシシッピー・バーニング(ウィレム・デフォー)



1964年、ミシシッピー州ジュサップで公民権運動家の若者三人が行方不明になる。
事態を重く見たFBIは南部の事情に詳しい元保安官アンダスン(ジーン・ハックマン)と、キャリア組のインテリ捜査官ウォード(ウィレム・デフォー)を送りこんだ。二人の捜査が南部の闇を暴いていく。

「愛がたくさんあるのに暗い場所は?」

「どこだ?わからない」

「ミシシッピー」

1964年、炎に包まれたミシシッピーを描くサスペンスアクション。

うーん、これは…。思ってたより良かったな。
1988年製作と古い映画で、そのクラシックさがちょっと苦手かな、と思っていたのですが、途中から全然忘れてました。興味深かったし、映画としてもおもしろかった。大陸の人々との軋轢が深刻化している日本でも、この映画は広く見られるべきだと思う。

「でも憎しみは生まれつきじゃない。教えられるものよ」

小学生の頃から黒人差別を教えられてきた、閉鎖的な街の人々。
街の有力者は壇上で黒人差別の正当性を訴え、大人たちはそれに賛同して湧く。その姿を子供たちはただじっと見ている。こうして、憎しみが正しいものだと植え付けられていく…。

その様子は反日教育を受けて育った大陸の人々と重なり、またそれを知って反感を抱く日本人の姿とも重なる。大陸の人々はもちろん、私たちも、憎しみを教えられて育ってはいないだろうか。情報が氾濫する世の中で、私はそんな気がする。
この映画の白人至上主義の人々は、もしかすると、私たちも行きつく可能性のある姿じゃないだろうか?
まぁ私は、この映画のアフリカ系アメリカ人のように、日本に移住した大陸の人々にまで参政権を与える必要はないと思うけどね。無理やり連れてこられた彼らとは状況が違う。日本国籍を持つ人だけに、参政権は認められるべき。

デフォーたんはインテリ捜査官で若き上司・ウォード役。理想に燃える情熱的な青年です。
私はこの映画で誰に近いかと言われれば、彼でしょうね。一見冷静に見えるけれど気持ちが先走りがちな彼の様子は、私にはちょっと目に痛いです。

対して実力で保安官からのし上がってきた男・アンダスンは、ウォードとは正反対のタイプ。
飄飄として一見無気力に見える彼の実際的な考え方は、私にとってはもちろん、ウォードにとっても教えて感満載だったようです。

「…わかった。君ならどうする?」

デフォーたんのデレキターーーーーーーーッ。
デレ上司キターーーーーーーーーーッ。
いいですね、いいですね!熱い展開ですよ!
最初は「君とはユーモアのセンスが違う」なんて言ってたのになーw
デフォーたんかわいいよなーw

アンダスンは最初、KKKの歌を歌ってみせたり、黒人席に入るのを拒んだり、クラン寄りの考えなのかなぁと思っていたのですが…。
実のところ、憎しみの連鎖にとても心を痛めているようです。同時に南部の人々の事情も良く理解している。だからこそ、ウォードほど熱くならずに問題に対処していくことができるんでしょう。濃いキャラクターです。

ストーリーもいいのですが、出演陣も豪華で観ていて飽きません。意外な人物が脇役で登場したり。
個人的に『SAW』のジグソウの登場が一番驚きでした。調べてみたら彼の映画デビュー作なんだそうな。ただ、セリフはなかったような気がします。結構映ってはいましたけどね。

おもしろかったです。

グラン・トリノ



ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は偏屈な男だった。朝鮮戦争で勲章を得た昔かたぎの男には許せないことが山ほどあった。
妻の葬式にヘソ出しで参列する孫娘、祈りの言葉を下品なジョークに変えてみせる孫、近所はウォルトが“米食い虫”と蔑むアジア系移民で溢れ、白人の若造は黒人気取りでラッパーの格好をして見せる。アメリカの精神は失われた。不満を募らせるウォルトは、日々悪態をついて過ごしていた。
そんな折、ギャングに唆された隣家の息子タオ(ビー・ヴァン)がウォルトの愛車を盗みに入る。銃を手に撃退したウォルトだが、この一件を機に隣家との交流が始まった。最初は頑なにアジア系移民を拒むウォルトだが―…。
イーストウッドが最後の俳優業に選んだヒューマンドラマ。

非常にいい映画でした。観に行って良かった。
イーストウッドらしくもあり、イーストウッドらしくない。そんな映画。
今までの彼の俳優としてのキャリアを見ると、このウォルト・コワルスキーは異色のキャラクターと言えます。
しかし昨今の監督としてのキャリアを見ると、このキャラクターはとても彼らしいキャラクター。

ウォルト・コワルスキーは私たちに、私たちが“何を美化しているのか”を教えてくれます。
彼はなんだってできた。正義の名の元に、男という名の元に、彼はどんな別の方法だって選ぶことができた。でも彼はこう言う。

「人を殺す気分が知りたいか?最低の気分だ」

そしてこう続ける。

「それで勲章などなお悪い」

物語の終盤、緊急灯に照らされたタオの胸にウォルトの勲章が下げられています。
それは“本当に勲章を贈られるべき男”を示しているのです。
買い物袋の底が破れて果物をぶち撒けてしまった女性に「手を貸しましょうか」と声をかけるような、女性の仕事である庭仕事を手伝うような、年配者を尊敬し彼らから多くを学ぼうとするような…。そして、復讐をしたくてもできなかったような、そんな男にこそ、彼は勲章を贈るべきだと感じたのでしょう。
それをタオやスーや(または彼らにも)、教えるために胸を貸した。

ウォルトは作中彼らの行動に対して「恥ずかしくないのか」と問いかけます。その答えは返ってきませんが、彼らは動揺していました。いつかその言葉から学ぶ日が来るのでしょう。

私たちは、私たちが何を美化しているのか、彼の行動から学べると思います。
私たちが愛や、友情や、正義や、または道徳観で何を美化しているのか。何を誤魔化しているのか。
それは17歳の少年の死体を麻袋に詰めて弾避けにする(できる)こととさして変わらない。
私たちはそろそろその事実を、受け入れていかなくちゃいけない。考えていかなくちゃいけない。そこで初めて、より良く進んで行けるのだと思う。

ここまでする必要はないと思うけどね。そこまで頑なに、拒まなくてもいいと思う。覚悟と信念のある上でなら、それで痛みを引き受けられるなら、別の解決法を取っても良かった。
でも彼は考えて、この決断を下した。それは誰にでも簡単にできることじゃなく、彼があの状況だったからこそできたと言え、みんなに“こうしろ”と押しつけられるものじゃない。それでも潔く勇敢な決断だった。彼の行動はタオに、どう生きるべきか、教えてくれただろう。


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