愛しの白い丸

時のうつろいと共に人の成す愚行を知り、時を重ね、真理を眺め、その薄い信仰の底に人の生死がある。

法を力で捻じ曲げるのが流行だが、本当に125人も殺すのか？
法律は我々のものだぞ。我々のものだ。

今回鑑賞したのはウィレム・デフォー出演の「天国の門」。マイケル・チミノ監督の伝説的映画です。巨額の製作費を投じて製作されたものの、３時間超という長尺が災いしたのか評論家に酷評され、さらに公開時間を短縮したものの、興行成績は伸びなかったという…。結果的に大きな赤字を出したこの映画は、製作した映画会社を倒産に追い込む原因となりました。

ストーリーは1892年のジョンソン郡戦争を軸に脚色された西部劇。
ジョンソン群戦争というのは、貧しいロシア・東欧系移民と富裕層のアングロ・サクソン系先住民の戦争で、悲劇的な結果を招いたようです。調べたところ映画内のラストとは違っていました。リンチで殺されるというのは怖い。群衆はけだものですね。
移民たちは貧しさから盗みを働き、それに腹を立てた富裕層が攻撃した、ということのようです。125人の人間を一度に処刑…それってどうなんでしょう？

評論家たちからはこっぴどく叩かれたこの映画ですが、私はそれほど悪くないと思います。確かに内容は難しいし、歴史を詳しく知らないと理解は大変なんですけど、肌で感じるんですよ、いい映画だって。もちろん万人受けはしないと思います。だけどちゃんと見れば、多少長くても、私は全然好きです。
３時間超は長いと思うんですよ。どんなにいい映画でも、２時間を超えれば超えるほど集中させることは難しくなる。３時間を超えてくればイライラもしてくる。それでもいいものはいいけど、万人を満足させることは難しい。
マイケル・チミノ監督が描きたかったこと、それに妥協せず尽力したことはとても素晴らしいと思う。でももっと省くことができたら、この映画が酷評されることはなかっただろう。いい芸術家は省くことがうまいの。映画は２時間が理想的。別にもっと長くたって私はいいけど、観客に伝えたいメッセージを一番スマートにアピールできるのはこの尺。できるだけそこに近づける意識で、映画を製作してほしかった。
この映画が原因でチミノ監督の仕事が減ってしまったこと、残念でなりません。素晴らしい監督さんだと思います。この映画の段階ではまだ稚拙だけど…絶対この後に身震いするほど素晴らしいものができる。それを感じる！彼が監督として段階を踏んだあとのそれを、私は見たい。

ところで、デフォーたんは出てましたか？クレジットも見てみたんですけど、名前なかったです。出てましたっけ？
前に見た時は「あ、ウィレム・デフォーだ」と思った覚えがあるんですが、今回は見つかりませんでした。いっぱい人いるから紛れてるのかなぁ…。

ワンシーンごとに絵画のように細部の演出が行きとどいていて、デフォーたん抜きにしても楽しめる映画です。
３時間半は長いけど…一度は見てほしいですね(*^ ^*)字幕しかないのがちょっとあれですけど。３時間半字幕は輪をかけてきっついと思うんだ。
午後ロー辺りで吹き替えてくれないかなー。前後で編成して……無理かー。需要なさそうだもんなぁ。
万人受けはしないの。でも確かにいい。名作でも傑作でもないけれど、可能性を感じる映画でした。

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