2035年度開業予定の北海道新幹線新函館北斗―札幌間(211キロ)で8月上旬に掘削が始まる村山トンネル(5265メートル)の安全祈願式が8日、北斗市で行われ、工事の本格化を歓迎する声が沿線自治体から上がった。一方、トンネルは工事区間全体の約8割を占め、その多くで掘削した残土の処分地が決まっていない。処分地を早く確保できるかどうかが、工事の進み具合を左右することになりそうだ。

北斗市村山の同トンネル函館側入り口前で行われた式典では、発注者の鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)、JR北海道、建設業者らが集まり工事の無事を祈った。新函館北斗―札幌間の本格的な工事は同トンネルが初めてで、同機構の金山洋一・北海道新幹線建設局長は「(札幌まで)211キロの工事にとって大きな一歩だ」と述べた。

沿線自治体関係者の期待も高まる。新函館北斗駅の周辺開発を進める北斗市の高谷寿峰市長は「こうした機会にも北斗の存在をアピールして(駅前への)企業誘致に汗をかいて取り組んでいく」と力を込めた。

札幌延伸をめぐっては、政府・与党が工期の5年短縮と開業前倒しを検討中だ。小樽市の幹部は「早期開業で経済波及効果が大きくなるとの試算もある。工期短縮を関係機関に要望する」と話す。
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