先日、「スターバックス空白地帯」として鳥取県の話題がクローズアップされたが、全国展開のイメージが浸透している巨大チェーンが出店していない地域というのは他にも存在している。

それは、「狐と狸がいるところに出店せよ」と事実上の創業者・岡田卓也氏が言ったというイオンである。
北は北海道から南は沖縄まで、ほとんどの都道府県出店しているのだが、なぜか福井県にはイオン及びその系列店が存在していないのである(※ちなみに、徳島県にもイオンショッピングセンター自体の出店はないが、系列のザ・ビッグやイオンタウンなどは存在している)。

一説には、岡田家(民主党の岡田克也氏の一族)のイオンに対して、保守的で自民党の支持者が多い福井県民が激しく抵抗するから……とも言われているが、いったいなぜなのだろうか?

同社広報部に確認してみると、「イオンなどグループで展開しているスーパーはありません。グループのミニストップはありますが」との返答。イオンがない理由については「特に深い意味はないのですが……」とコメントしたうえで、「今後、出店の可能性が無いわけではありません」とのこと。

一方、福井県民からは気になる話が浮上してきた。福井県民のなかでは、イオングループに対して、あるネガティブイメージが存在するというのだ。それは、1977年から2003年まで存在した「ショッピングタウンピア」という、イオンリテールと地元共同組合が共同運営していた商業施設をめぐる問題だ。

福井県在住で、県内各所の建造物の取り壊し現場などを撮影し、ウェブサイト「てるふあい」にて紹介している高志の民(こしのたみ)氏は語る。

「県内最初で最古のショッピングセンターであるピアは、2003年に閉店。その後、建物の一部は解体されたものの、2009年まで約6年もの間放置され、県内最大の廃墟となっていました。裁判にもなりましたし、地元民からは『ジャスコ(イオン)がとんずらした』とすら言われています」

この件について、イオン側は「ショッピングタウンピアの問題とは関係ない」と言っているが、地元民にとっては、古くから親しんでいた大型商業施設が閉店し、長い間廃墟化している風景がネガティブイメージとして根強く残っているようで、ピア閉店後に何度かイオンの出店計画が持ち上がったものの、地元商店の組合などから強い反対の声が挙がったという。

イオンが福井県に存在しない理由。イオン側と福井県民の見解は異なるようだが、少なくとも福井県民のネタ、「うちの県にはイオンがないから田舎でない」は、もうしばらく使えるのかもしれない。
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