借りてきました。



1996年、死刑執行をひと月後に控えたサム・ケイホール(ジーン・ハックマン)の元を若い弁護士が訪れる。彼の名はアダム・ホール(クリス・オドネル)。名前を変えて潜んだサムの実孫だった。
父が拳銃を咥えて自殺した年に知った祖父の存在。祖父は人種差別主義者で、法律家を嫌い、自殺した父を蔑み、人の生を踏みつけにした殺人者だった。「あなたを憎めたらどんなに楽か」。「でも愛さずにはいられない」。
祖父を助けるために奔走するアダム。その手段を探るうちに、アダムを含め多くの人が予想しなかったサムの心が浮かび上がってくる。人種差別問題や死刑問題に切り込みながら、濃厚なヒューマンドラマも絡めた社会派サスペンス。

久しぶりに観てみると、以前はわからなかった良さを知ったり、以前にいいと感じたシーンに改めて驚かされたり、刺激があっていいですね。

「被害者遺族に謝ったことはありますか?」

「…謝ってどうなるんだ」

「あなたはどう思いますか?」

「何も変わらん」

個人的に、精神科医とサムのこのやり取りに惹きつけられました。
このサムの答弁はまさしくそうだと感じる。だからと言ってなんの意味もないわけじゃない。もしかしたら、何かの助けになるかもしれない。だけどやっぱり、何も変わらない。それはよくわかる。

“クインズ・リンカーン”の名でサムが見せた反応や、父の自殺についてサムが見せた反応、ミークスの死刑執行に関して語る姿には、何か胸に迫ってくるものを感じた。きっと彼は、私に何かいいものを植え付けた。

不愉快で怒りを感じるシーンも多い映画だけれど、多くを学べるいい映画です。
死刑執行に積極的な姿勢を見せる知事に歓声を上げる人々を、皆さんはどう思いますか?
知事の言う「この事件の基本的な事実」とは、本当にサム・ケイホールの判決だったんでしょうか?
「助ける価値がない」って思うことはありましたか?

目を伏せて待つ死刑執行官に脱帽します。
刑務所の表で歌う人々は、あの姿を見てもまだ笑えるんでしょうか。



話題:繰り返し観ても素晴らしい映画