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キャラ名

桜ヶ丘林檎農園

桜ヶ丘
都心部まで電車で1時間ほどの比較的人口の少ない町。
土地のほとんどが林檎農園と桜家の所有地でなので約半分は林檎畑もう半分ほどが大きな屋敷がそびえている。

桜家
桜ヶ丘一帯を取り締まっていた百姓。今は金と土地があるだけでまったく権力などはない。

柑橘家
国内有数の財閥で、代々この家に生まれたものたちは何かしらの形で歴史に名を残す人物となる。

せとか(せとか)
家出少年。名前と年齢以外はすべて不明。この話の主人公。
小町とは喧嘩仲間で、章姫に一目惚れをした。不憫体質。

林旭(はやしあさひ)
幼い頃に父親を亡くし、林檎農園のオーナーになった。
梅は父親の友人で、父親代わりとして育ったので梅にすごく懐いている。頭があまり回らないように見えて結構しっかりしてる。

林小町(はやしこまち)
旭の妹で高校一年生。
人見知りで、気の強い性格だが、兄同様梅には懐いている。
兄は進学できなかったが、自分だけでもときちんと通わせてもらえているのを申し訳ないと思っているし同時に感謝もしている。

豊嘉章姫(とよのかあきひめ)
(本名:壱五/いちご)
農園で働く従業員。
シャイで優しい彼がいるらしいが、章姫という名前は偽名で本名は壱五といい正真正銘男である。

柑橘柚子(かんきつゆず)
見た目はかなりの男前だが、れっきとした柑橘家の長女で次期当主。
剣道をたしなみ、頭も良いまさに文武両道のエリート。

柑橘檸檬(かんきつれもん)
柑橘家の長男だが、家のことにまったく興味を持たず、妹に跡取りを譲った。
絵を描くのが趣味。

桜てまり(さくらてまり)
桜財閥の双子の姉。
気が強く世間知らず。プライドが高いため友人も少ない。

桜さやか(さくらさやか)
桜財閥の双子の妹。
おっとりとしていて少し天然が入った性格。その為異性にすごくモテるが、病的な程姉を溺愛している。

柿本樹一(かきもときいち)
地方から引っ越してきた少年。先週訛りの関西弁をしゃべる。
小町や桜姉妹と同じクラスで八総に一目惚れした。

栗山八総(くりやまやつぶさ)
利発な栗頭の少年。元気さが自慢。
懐く樹一を大型犬と同一に見ていてまったく危機感がない。逃げて。

白加賀梅(しろかがうめ)
旭の父親の友人で林兄妹の育て親。
放浪癖がありここ3年ほど帰ってこなかったのだが、最近なぞの少女桃をつれて帰ってきた。
稔とは腐れ縁。

藤稔(ふじみのり)
花から果樹まで幅広く取り扱う「稔り家」を営む女店主。
旭達の親代わりの一人で質の良い苗や種を取引したり、色々ひいきにしてくれる。
梅とは腐れ縁。

桃(もも)
ウメがつれ帰ってきた少女。素性はわからない。

オリジナルタイトルと内容

設定がいっぱいありすぎて困惑中だからまとめた!
アトミックは中一の頃からあたため続けてる設定です。

1.アトミック
元素擬人化でもちゃもちゃしてるはなし。主人公は一応水素。BLNLGLごちゃ混ぜ。
基本1話完結

2.桜ヶ丘林檎農園
くだもの擬人化。家出少年せとかと、林檎農園を営む兄妹旭と小町と従業員の話。

3.七色の羽
ゼロ
貴族に捕らえられた姉を助けるためにキャパレー火山へ華火を採りに行ったのだが、その途中にあるキャパレーの森で運悪く中級モンスターに遭遇してしまう。戦闘力など持ち合わせていない兎鳥族のデリアはなすすべなく目を瞑るが、次に感じたのは痛みではなく誰かが通り過ぎたような風だった。目を開けるとそこには、長い銀髪をなびかせこちらを見つめる少年がいた。
七色の羽
ちまたで有名な凄腕ハンターの話。どんな獲物でもかならず倒すので、皆がそろって依頼したがるのだが、放浪者の彼を捕まえるのは至難の業だった。
彼の容姿は、短い銀髪に赤い眼、古びた見た目に反し鋭い切れ味を有する双剣を腰に携えている。
何より特徴的なのは幻といわれていた兎鳥族の“七色の羽”を二枚も腰に装備していることである。

4.ハーブタイム
ハーブ擬人化で主人公のミントとそこの常連さんや知り合いの話。BLNLGLごちゃ混ぜ。
基本1話完結。

5.幽霊図書館
主人公の霊感少女みそのが柳沢図書館、通称“幽霊図書館”で、そこに住み着いている(?)幽霊や妖怪たちと繰り広げるじわ怖な話。NLGLあり。
基本1話完結。

6.俺のペットの話だが
動物関係の専門学校に通う主人公の飼っているペットのウサギ、ネコ、カナリアが突然子供になってしまった!というラノベも真っ青なベタな話。
NLラブコメだと思った!?残念!BLでしたーー!!

7.シノと灯
ツイッターつながりで出会った東雲達哉と榊原灯酉のお話。
BL

8.CAT
王道学園に入学した綾のまわりで起きる親衛隊持ちとの恋愛がらみの修羅場話。(大体あってる)
本物↓
CATの総長である主人公中塩屋綾は入学すれば将来安定と言われる金持ち学校杏阿木学園に入学したが、その学園のトップである生徒会のメンバーは綾のチームと犬猿の仲であり最強といわれるチームBLACKのトップたちだったのだ。
BL。

9.青春グラフィティ
オタクだったからと言う理由で彼女に振られた主人公広川谷芹とあるとき偶然出会った少年枚泉透の話。
BL。

10.忌み憑き
代々動物神を祭り、憑かすことで家に利益をもたらしてきた家の跡取りたちの話。
内容はきっちり決まってないけど、一応簡単にまとめると“なくなって初めてわかる大切なもの”の話。
一つ以外はノーマル。

11.鈴木家!
バリバリのキャリアウーマンと専業主夫、高校生の主人公泉と双子の女の子美莉と莉奈の5人家族の鈴木家。母親の都合で引っ越しをしたのだが、泉が通うことになった高校と妹たちの通う事になるが近くだったので、送り迎えをすることになった。
ハートフルコメディ。

12.鈴木くんと御門くんと
鈴木家!の学園編。
クラスに転校してきた鈴木くんに一目惚れしてしまった御門龍吾がもだもだぐだぐだしてるはなし。
男同士の恋愛って奴の葛藤を描きたいです。
勿論BL。

13.来たれ我が聖庭園(ホーリィ・ガーデン)
中学時代に見事な中二病だった主人公神崎晴凪は高校ではまともに高校ライフを過ごしていたのだが、二年に上がったある日校内で中学時代に召使(サーヴァント)だった後輩、柳瀬茲海に再会した。
びっくりするほどGL。

14.学園サバイバル
学園一の不良赤坂大護は夕暮れでオレンジに染まった教室で謎の少年に突然脇腹を刺され、訳が分からず痛みに蹲っていた時襲ってきた人物の首が吹き飛んだ。首をはねとばした人物はなんとクラス一の優等生、樫木真琴であった。
彼らは殺しの精鋭集団Invulnerability(インヴネラビリティ/不死身)の入団枠をめぐって夜の学園内で殺しあいをしていて、それを知ってしまった大護は半強制的に殺しあいに参加するはめになるのだった。

15.70センチの距離の男
身長195センチの弱メンタル男安達時雨と125センチしかないキレデレ系めんどくさい男西牧司呉の両片思いホモギャグ。




書き出してみると色々あたためた設定あるんだなぁ〜
あっ、七色の羽は支部にて“紅狼の少年と兎鳥の少女”という名前で上げてるので設定の細かいとこは省略。
ちなみにCATの司くんの通り名は響きもよかったし、ここからそのまま貰った。
あとはとっても困ってることは、設定だけであんまりビジュアルにこだわらなすぎて青春グラフィティ→忌み憑き→鈴木家!の順に主人公が顔だけそのまんま移行してたり、その後に青春グラフィティ描いちゃうし、忌み憑きも本格的に練りはじめちゃうし鈴木家!はまだ描いてないから顔の造形かえれるけど、谷芹くんと順ノ介は目のデカさと表情の固さ柔らかさくらいしか本当に違わない。しいて言うなら順ノ介のが短髪で硬そうで谷芹は細くて柔らかい感じのイメージかな。
後私黒髪真ん中わけ描きすぎである。

あっちなみに読み仮名一覧

東雲達哉→しののめたつや
榊原灯酉→さかきばらひとり
中塩屋綾→なかしおやあや
広川谷芹→ひろかわせせり
枚泉透→ひらいずみとおる
鈴木泉→すずきいずみ
鈴木美莉→すずきみり
鈴木莉奈→すずきりな
御門龍吾→みかどりゅうご
神崎晴凪→かんざきはるな
柳瀬茲海→やなせここみ
赤坂大護→あかさかだいご
樫木真琴→かしぎまこと
安達時雨→あだちしぐれ
西牧司呉→にしまきしぐれ

でございます。谷芹も茲海もいつか使いたかったんだよねー!
ちなみにこの読み一覧は私が読めなくなるとサイコーに困るからです。

バラの花

彼が初めて“それ”を渡してきたのは高校一年の春も終わりに差し掛かり、緑が鬱蒼と生い茂り日差しがちょっと暑くなりはじめた時期だった。
幼い頃から恒例になっている遊び場である俺の部屋に、ふらりとあらわれた彼が真っ赤になりながら一本、彼の顔そっくりの色をした赤いバラを差し出してきたのだ。
「まあそういう事だから」

なにがだ。そう聞こうとすると彼は俺の部屋から一目散に逃げ去った。

ソレからである。月に一本、前触れもなく渡してくるようになったのは。
なぜ彼がバラを渡してくるのか俺にはよくわからなかったのだが、首を傾げながらも「ありがとう」と笑って受け取ることにした。なぜならそうすると彼はへにゃりとだらしなく笑みを溢すからだ。俺はその笑った顔が何よりも好きだった。

本格的に日差しが暑くなり、アスファルトからじりっと焼けるような音がし始めた時期、彼が始めと同様真っ赤になってバラを渡しに来た。
始めと同様「へ、返事は要らないから…!」などと意味深な言葉を残しこれまた始めと同様に部屋から逃げ去っていった。
返事とはどういうことなのだろうか。当時あまり頭の良くなかった俺にいくら考えてもよくわからなかった。


時は流れそんな毎日が過ぎ去り、年を越したお正月の時だった。こたつに潜りぐうたらと三が日を過ごす俺の元に彼がやってきたのだった。
いつも通りに部屋へ招きいれ、構うことなくぐでっとベッドへダイブした。
彼はくすくす笑いながらも俯せになった俺の頭を撫でながら手に持っていた赤色を差し出した。
「本当だよ」

そういいながら渡された花にそっと触れる。このバラには一体どういう意味が隠されているのだろうか。何が本当なんだろう。
ふと、この時始めて、彼の言葉の意味が気になった。



その意味を知ることになったのは一年後の事だった。



高学二年も終わりに差し掛かったクリスマスの事だった。
くだらない愛がどうだと話すバラエティーをぼんやり眺めていたとき、こんな話を始めたのだ。

『そういえばバラの花って数で意味がかわるんですよ』
『へえ!そうなんですか!』
『確か1本だと一目惚れ、3本だと告白…だったと思います(笑)』
『ロマンチックですねぇ!』

いつもなら右から左へ受け流すようなくだらない話だ。しかし、俺には妙に引っ掛かる節があったのだ。
急に渡されるようになったバラの花。たまに贈られる謎の言葉。
もしそれがその“バラの花と本数”が関係していたら。
俺はがばっと起き上がるとうっすらと埃を被ったパソコンを起動させた。パソコンの横にはもらったバラを挿すためだけに購入したシンプルなガラスの花瓶が置かれていた。



色々調べてわかったことは、どれも歯の浮くような甘い愛の囁きであるということだ。
ディスプレイに映し出された文字を目で追うたび比例するかのように真っ赤になる俺の耳。

俺が覚えていたのは始めてもらったときと、夏休み前、後は正月。この三つのフレーズは意味が輪からなすぎて逆に鮮明に覚えていた。
『まあそういう事だから』『へ、返事は要らないから…!』『本当だよ』その時に該当する意味は、『一目惚れ』『告白』『いつも想ってる』
じわじわ顔全体が熱を帯びるのを感じる。きっと俺は今、毎月くれるバラの花同様真っ赤になっているだろう。
そうだ、バラの花で思い出したが、今月は一度も貰っていない。貰ったとしたら何本目になるのだろう。
毎月一本貰っている。始めてもらったのは去年の5月。そこから一本ずつ貰っていたはずだ。そういえば一度誕生日の月に5本位貰ったことがある。だとしたら単純に数えると…

「今月は24本目…?」

口に出して、ディスプレイに向き直る。検索結果には24本目は書いていなかった。改めて『バラ 本数 意味 24本』と打ち込む。
ころころとスクロールバーを動かし、書いていそうなページを探す。そこに出てきたのは…


こんこん
『おい、入っていいか?』
幼なじみの彼の声が聞こえた。俺は声を上ずらせながら「どうぞ」と返事をした。
パソコンの画面が暗くなるのと同じタイミングでガチャリとドアが開き、外にいたせいなのか真っ赤になった鼻を手のひらで暖めながら久しぶり、なんて笑った。
久しぶりもなにも二日に一回は会ってるだろうと返せばそれもそうだと喉をならして笑う。
ふと会話がなくなって視線をさまよわせていると、かさっとビニールの鳴る音がした。ついと音のしたほうを見ると小さな箱と、赤いバラ。
ふとさっきの言葉がよみがえりざっと顔が赤くなる。それを見せないようにうつむき、小さく何持ってきたのと問えば、ケーキ持ってきたんだと笑っていった。今日はクリスマスだからさ。と

「おまえと食べたかったんだ」
「…なんだそれ」

ついくすっと笑ってしまい、つられたように彼も声をもらす。
そのまま、テーブルにケーキの箱を置き改めたように俺を見つめた。

「はい」

手渡されたのはずっと存在を主張していた赤いバラ。また熱を帯始めた頬を軽く擦りながら「ありがと」と小さくつぶやいた。

「おまえに出会ったその時から」

なんとか熱を覚まそうと努力していたのだが、彼の発言の所為でかっと頬に熱が走った。
いつもなら疑問符を浮かべながら「おう」とか「そうか」とか言っているのだが、今はそんなことも吹っ飛ぶほど頭が真っ白になってしまっていた。
彼も不思議に思ったのだろう。俯いていた顔を上げて、そして息を呑んだ気配がした。

彼が渡したのは、24本目のバラ。意味は…
















私はあなたの物。


そろりと顔を持ち上げると、彼はばつが悪そうに視線をさまよわせていた。少しして目がかち合い、見つめあう形になった。少し見つめあっていたら、小さく彼が口を開けた。

「いつから気付いてた?」
「…テレビで見て…もしかしたらって、さっき調べてみた」

真っ赤になって互いに言いながら、ぼんやりと俺は、彼にこんなにも長い間求愛されていたのかと何となく理解した。
当の本人はばれてしまった気まずさに居心地悪そうにしている。

「あ、のさ、ごめんな」
「…なんで?」
「や、だって、男にこんな…告白され続けてたなんて、気持ち悪いかなって…」

正直に言おう。正直知ったとき、恥ずかしさと居心地の悪さと、ほんの少し、うれしいと思った自分がいたんだ。意味がわかったとき、嫌悪なんかなくて、確かにうれしいと感じたのだ。この幼なじみはなんて健気なんだろう。なんて愛らしいんだろう。
急に抱き締つきたくなってから、はたと気付く。あれ?もしかして俺、彼のことが好きなのか?
自覚してしまうとなんだか心臓が高鳴り始めた。どきどきなんて物じゃない。まるで大きな祭り大鼓を叩いたような音が耳の中で忙しなく鳴っていた。

「…」

だから、ねぇ、気持ち悪くなんかないんだよ。

俺はばっと立ち上がって、適当にノートを開き、びりっとちぎった。そして筆箱から赤色のペンを取り出し、きゅっきゅっと音を立てながら線を描いていった。
彼は、困惑した様子で俯いている俺の旋毛を見つめているようだ。
しばらくして、ようやくできたのは、歪でへたくそなバラの花が3つ。それをひっつかみ、彼の胸元に押しつける。
えっえっと声を上げる彼に恥ずかしさについ怒鳴るようにやる!と言った。

静かになり、少ししたらぱらりと紙の音がした。え、と声が漏れたのが聞こえ、耳に朱が走る。じっと俯いてると、布のこすれる音が少しして、次にはぎゅうと暖かい何かに包まれていた。

「ねぇ、俺勘違いしちゃうよ」

肩に顔を埋めながら、小さくささやいた彼に顔を真っ赤にさせながら、機嫌悪げに「しとけば?」と返した。










簡単年表


4月高校生スタート。

5月たまたま見た本にでバラの話を知る。1本目スタート。

6月2本目

7月3本目

8月4本目

9月5本目

10月6本目

11月7本目

12月8本目

1月9本目

2月10本目

3月11本目

4月高学二年スタート。12本目

5月13本目

6月14本目

7月15本目

8月16本目

9月17〜21本目。誕生日。(ちなみに5本の意味は“あなたに出会えて幸せ”)

10月22本目

11月23本目

12月24本目。成就する。



ちなみに漫画のプロットのために書いたものでした。

バラの花と本数の意味

バラの花って数で意味かわるよねー。これはいいネタになるんでねーの?
ということで調べちゃったんだぜ!

1本一目惚れ
2本お互いの愛
3本告白
4本永遠の愛
5本あなたに出会えて幸せ
6本あなたに夢中
7本ひそかな想い
8本互いに補う
9本いつも想っている
10本完全無欠
11本最愛
12本円満
13本友情は永遠
15本謝罪
19本愛は最高
20本誠実
21本私をあなたに捧げる
24本私はあなたの物
25本祝福
33本3度生まれ変わり3度愛す
36本ぞっこん
40本私の愛は本物
50本無限大の愛
51本私の心はあなただけ
66本細く長く
99本永久の愛
100本年老いても共に
101本永遠への到達
108本結婚してください
111本一生愛する
365本毎日あなたが恋しい
999本何度生まれ変わっても愛す


調べ上げてやったぜ…!眠たい…!くそ、明日はやく起きなきゃなのに…!おやすみ!

柳沢図書館の幽霊と私

わたし、みその、といいます。私はいわゆる見える人種です。今日は小さい頃からの親友のさやかちゃんに連れられ、“幽霊図書館”と呼ばれている町外れにぽつりと建っている柳沢図書館にやってきました。
さやかちゃんはいわゆるオカルトが好きで、そういう話やスポットをよく知っていて、私が見えるのを知っていて、小さい頃、私が起こしてた奇行を唯一理解し、ストッパーとなってくれていた。
そのお礼として、何度か付き添いでスポットを巡ってみたりもしている。
今日もその一貫だったりする。


「ねぇっ!どうっ?幽霊が出るって曰く付きの図書館だよ!?なにかいるっ?」

らんらんと目を輝かせこちらを見るさやかに私はあわてた。

「っ!ちょっ…だめだよ…!たくさん人がいるんだから少し小さい声でしゃべろ…?」

わたしがひそひそと伝えると、さやかちゃんはきょとんとした後、にんまりと笑顔を深くした。

「やっっっぱり居るのねっ…!ここっ…!」

両頬に手を当てて、興奮に目元と耳とを真っ赤にしていた。
ああ、今ここには誰もいないのかぁ…なんて思いながら改めて館内を見渡した。
学制服を着た黒髪の男性に狐のお面をつけた巫女さんのような衣裳の女の子と着物の女の子。長い黒髪の女性におかっぱに赤いスカートの女の子。真っ黒で長い長いフードをかぶった人とあれは…黒猫?

「あれ、ねこ?」

さやかがそちらに向かって歩いていく。黒猫は黒髪の男性と長い黒髪の女性と一緒にいて、自然と二人の視線はさやかちゃんへとむいた。
こういうとき、おばけは人に取りついてきたりするのだ。はっと思い出した私は怖くなってさやかちゃんの後ろ姿を追った。
黒髪の男性がさやかちゃんに手を伸ばしているのが見えた。泣きそうになりながら私が必死になってさやかちゃんの前に立ちはだかった。

「だっ、だめですっ!やめてくださいっ!さやかちゃん、悪い子じゃないし、ここを荒らしに来たんじゃないのっ!」

大の字になって二人の間に立った。たぶん私は半泣きだと思う。黒髪の男性は驚いた顔をしていた。

「えっ?みその?どうしたの?」

後ろからさやかちゃんの不思議そうな声が聞こえた。だってそうだ。さやかちゃんはただ猫を触ろうとしただけなのだから。
シーンと耳に痛い静寂が続いた。さやかちゃんは何か言いたいけど何も言えないのだろう。何度か喋ろうと息を吐く音がする。
私はというと、それを気にする余裕さえ無かった。なんせおばけに声を荒げたこともなければ、こんなに近くで目を合わせたこともなかったのだ。
黒髪の男性はさっきまでさやかちゃんにのばしていた手を私に向けた。ソレに気付いた私はぶるぶると恐怖に震えていた。

「っ!は!あっはっはっはっ!」

後少しで触れるだろう、その寸前に目の前の男性は耐えきれなかったのか笑いだした。まわりからは、彼の笑い声に同調するようにラップ音が鳴り響いた。さやかちゃんは「うわっ」と驚きに私に抱きついた。

「ごっ、ごめんねっ…ぶはっ、あの、いきなりこっちにっ!きたから…ははっ!悪戯しようと思っただけなんだ…!」

ひぃひぃと笑い転げる目の前の男性に私はぽかーんと口を開けるだけだった。気付いたらもう恐怖なんて何一つなく、震えも涙も止まっていた。

「…な、何もしないんですか?」
「何するもなにも、あなた方は私たちに何かしようとしに来たんじゃないでしょぉ?」

おそるおそる聞いたら隣にいた女性がくすくすと楽しそうに笑って私に言った。
もちろん、何かしようとなんてしたかったわけないのでぶんぶんと首を左右に振った。
彼女はまたふふふと上品な印象を持つ笑い方をして私を優しく撫でた。
二人が笑うとラップ音がするのはイコールらしく、さっきからばしばしと音がなっている。

「あぅ、なんか、あの、怖いおばけじゃないんですか?」
「あっははは!違う違う!何ていうの?彷徨ってたらここに着いたっていうか」
「そうねぇ、私も、死んだの自分の家だしねぇ」
「僕も僕も」

ころころと笑っているが話している内容は死因だ。笑うに笑えない。ネタがブラックすぎる。
あはは…と小さい苦笑を洩らしていたら足元に小さいぬくもりを感じた。

「ちょっと、貴方の連れ、物凄く怯えてるわよ」

猫だ。猫がしゃべった。
驚愕に口を開けていたがすぐにその内容を理解して後ろを振り向いた。さやかちゃんはぷるぷると可哀想なほど震えていた。

「あ」
「みっ、みそのっ…なっ、さっきから音っ!」

ぎゅううと私の背中を握り締めて訴える親友に気付くのが遅かったなとすごく申し訳なくなった。

「ごめん、さやかちゃん。大丈夫だよ。ここにいるおばけ、悪い人じゃないよ。」
「だ、音、さっきから」
「笑ってるの。怒ったり、暴れたりしてるんじゃないよ。大丈夫」
ぎゅうとさやかちゃんを抱き締めて背中を撫でた。ぽんぽんとリズムよくたたいて落ち着かせるように言い聞かせた。
悪い人じゃない、というのは決して間違いではない。現に先程まで笑っていた二人はおろおろと困ったように眉を下げて心配そうに見つめていたからだ。

「あーあー、その子やっぱり見える子じゃなかったかぁ、申し訳ない、申し訳ない」
「ごめんなさいねぇ、こわがらせる気はなかったのよぉ」

二人がいってる言葉をそのままさやかちゃんに伝えたら、おびえながら「本当?」と聞いてきた。
私がうんと笑って頷いたら、さやかちゃんはやっとひっそり笑った。





それからだ。私が“幽霊図書館”へ足を運ぶようになったのは。



続く…
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