親というものは、こちらから切って捨てなければ、延々と背後霊や呪縛のように付きまとうものだと思う。

身の回りに親に振り回される子が多くて、心底そう思う。
人間なんて信頼に値するようなものじゃないんだから、親だって信頼のおける存在ではない。
馬鹿で愚鈍な親だっている。

価値観のふらつく10代を経て、ものの見方がわかってくると、親の言うことが馬鹿らしかったりすることに気付く。
それでも彼らの言うことを聞かねばならない気がしてくるし、それに苦しめられる。
見に降り掛かる親子という現象を振り切るには、こちらから親を捨てるしかないんだろうと思う。



そうは思っていても、父に会うとやはり同情してしまって、どうにかこの男に仕送りが出来ないのだろうかと思ってしまう。
同じ家に住んでいた頃では考えられない。

あんな、妻子から見放されて職もなく金もない彼を見てると、死にたくなるくらい虚しくなる。
怠惰だけで生きているんだろう。
あれの生死の成長体が自分だと考えると身の毛がよだつ。
そのくせ彼の疲れ切った顔を見ると罪悪感が沸く。


親が呪縛のように付きまとう原因は、自分の同情心なのかもしれない。