黒い猫は黒猫

ようやくうちの親に挨拶する日を
決めるために動き出した。


基本的に、
私はあまり両親が得意ではない。
特に父親。

別にその辺にいるそこそこ善良な市民だし、
よくいるじいさんとばあさんだし、
ごく普通の両親で毒親とかでは全然ないんだけど。

世代的な価値観の差もあるんだろうけど
私の持っている人としての常識が
ズレていて許せないことが多々ある。

あと両親ともコミュニケーションが下手くそで
馬鹿の一つ覚えみたいに喧嘩しかしないし、
家庭内がなんとなく息苦しかった。

両親は私を愛しているし
心配してくれていることは理解しているし、
嫌いなわけではないんだけど。

私は距離感が遠いほうが
両親を愛せると思っている。


母はまあそんなに苦手ではないし、
妊娠も割と早めに報告したし、
会ったり連絡取ったりしてたけど。

父には3ヶ月くらい前に手紙を出しただけ。
エコー写真と妊娠報告と、
入籍予定がないという事実だけ。

電話で妊娠報告すると
父はショックとか受けちゃいそうだし
面倒くさそうだと思ったし、
母からのアドバイスで
とりあえず書面で報告すれば
まあ冷静に受け止めてくれるだろうということで、手紙だけ。

電話とか何かしら連絡来るかなー
と思ったらなにもリアクションがなく。

母と連絡を取ると
どうやら手紙は見たらしいが
手紙のあと、私からの電話がないと不服らしい。

手紙にレスポンスもしないくせに
一体なにを言っているんだと思ったけど、
まあとりあえず面倒くさいから保留に。


保留にして3ヶ月。
いくら以前彼はうちの親に会ったことがあるとはいえ、
流石に生まれる前に彼に挨拶させておかないと
絶対あとから面倒くさいことになると思い、
重い腰を上げる。

そもそも実家に挨拶しに行くと考えるから
面倒くさいんだ。
親をこっちに来させたらいいんだ。
よし、日取りを決めよう。
そう思って母に電話する。

私「2人でそっちに挨拶いくと仕事止まるから、できればお父さんと2人でこっちに来て欲しいんだけど」
母「ああ、そりゃそうだよね。でもお父さんと2人で外出かぁ」
私「まあ、そうだよね。ごめんね」
母「ううん、仕方ないよね。わかった」
私「それでお母さんの休みが月曜だっけ？」
母「そう。お父さんの休みは知らないから、自分で連絡取ってね」
私「ああ、そうだよね。まあ今月か来月に」

くそ面倒臭い。
そう思って約1週間ほど放置。


今日ようやく父親に電話した。
夜電話したから酔ってるかと思ったけど
話は通じたから飲んでなかったんだな。
珍しい。

妊娠の話と挨拶の話と日取りの話と
多少の世間話をして、
電話切ってがっかり。

妊娠に関しては彼の感想を全く言わず、
おめでとうの一言もない。

私「手紙読んだ？お父さんからの連絡待ってたんだけど」
父「でも手紙には挨拶に来ると書いてあったから、いつ来るのかと思ってた」
私「そうなんだ。とにかく挨拶に行くのが難しいから、こっちに来てほしい」
父「わかった」

父「サイカとゆっくり話したいと思っている」
私「わかった。別に日取りを取ったほうがいいのね」
父「話したいことはいくつかあるんだけど、お父さんも先は長くないから、身辺整理をしようと思って」
私「ああ、お父さんもそういう年齢よね」
父「本当はお前がこっちに来た時に話したいと思うのだけど、こっちに来たときお前は外で遊んでばっかりで」
私「そうね。それで、その日取りはいつ決めたらいいの？急ぎなの？」
父「まだしばらく元気でいるつもりだから急ぎじゃないけど」
私「そりゃそうだよ。チビにも会ってもらわないと困る」
父「ああ、うん」

私「じゃあ具体的な日にち決めたら連絡する」
父「わかった。お母さんにでも連絡してくれれば、そこは空けておくから」
私「あと、手紙に同封したエコー写真持ってる？」
父「ああ、あるよ」
私「それも持って来てほしい。エコー写真アルバム買ったからその中に入れたくて」
父「わかった」

一事が万事この調子。
それとなく妊娠している話題を振ってもダメ。
聞かないから答えなかったにしても、
マジで一言も妊娠に関して触れなかった。


父はきっと私が嫁に行く（行かないけど）覚悟がないのよね。
だから手紙をもらっても私に連絡できなかったんでしょう。

昔彼に会わせたときも、
彼が家に来るということに関して直前までノーコメントを貫いて、
いざ彼が来たら不必要なほど威圧的でみっともなかった。

そう思いたい。
チビが生まれるってことは、
父にとっては孫だし
喜んでほしいと思っている。

もし喜んでいないどころか、
悪い感情があるのであれば、
私はチビと父を会わせたいとは思わない。


出会ってから3回くらいしか会ってない人でも
私の妊娠に気づいたら
「おめでとうございます」
と言ってくれるのに。
父親からはおめでとうと言ってもらえない。

私が父に「普通の父親らしい振る舞い」を
期待するからがっかりするんだって
いつも思うのに。

この歳になって、
親が苦手だとか言っていることも恥ずかしいし
チビができたからこそ、親に感謝とかしたいんだけど。

うまくいかないなぁ。

こういう気持ちにさせられることが多いから
あんまり両親と連絡を取りたくない。

夜光虫は見れなかった。

鎌倉に行って、
食べ歩きして海側を散歩。
夜光虫は見れなかったけど、
夜の海も良いものね。

ていうか、
最近鎌倉行きすぎじゃない？
2週間くらい前に行った記憶あるんだけど。


やはり鎌倉に住みたい彼。
確かに良いとこだし、私の実家も近いけど。
仕事もあるし、都内にすぐ出れるところが良い私。

「仕事、私現場出るよ。週3でチビ抱いてグリーン車通勤？」
「引き継げばええやん、講座やろ」
「うん」
「講座なんて誰でもできるやん」
「まあ、やれるだろうけど」
「コンサルはビデオ通話とかの遠隔でやって」
「そしたら時間できるから月額課金のオンラインサービス作るわ」
「な。うまくいけば遠隔でできるんだよなー」
「都内で営業は君がやって、週3くらいで帰ってきて」
「そう。サイカはチビ抱いて海まで散歩したらええやん」

そう考えるとメリット多いけど、
でも神奈川はやっぱり嫌なんだよなー。
鎌倉とかは子育てはしやすいかもしれないけど。

都内に出るの時間かかるし。
やっぱり都内に住んでたいんだよなー。