美容院に一緒に行った友人の話。
9月入社で内定が決まり、それまではジュース屋さんでバイトだそうです。
友「私さ、今から始めたバイトも半年くらいしかいないから変な奴って思われないようにしようと思って」
私「ほう?」
友「あんな奴いたよねって語り継がれたくないし」
私「あー。確かに短期だとねぇ」
友「でもこの前『これ熱いお湯出るから触っちゃダメだよ』って教えられたときに『熱いって言われると触りたくなりますよね』って言ってしまって」
私「まぁ、気持ちは分かるが。既に変な奴だね」
友「いや、そこでやめときゃ良かったのに『何でそんなドMなの』って笑われて、とっさに『ドMというよりお湯に打ち勝ちたいというサディスティックな心ですよ』とか返しちゃって」
私「…うん」
友「私はバイト始めてすぐに目標が達成されないと知った」
でも私、君のそういう切り返し大好きだよ。
私「私もこの前バイトの同期に変って言われた」
友「何やらかしたの」
私「いや、何もしてないっていうか4年も働けば今更っていうか…。何のときか忘れたけど『狩野って頂上まで上り詰めて、あぁなんだここが一番上かって言って引き返して地下まで潜ったような人だよね』って」
友「・・・それは狩野が変なんじゃなくて、同期が変な奴なんじゃないの?」
私「やっぱりそう思う?あいつ私のことを変な奴って思っていて、自分は「普通」って枠に収まってる気でいるけど、実はあいつも収まってないと思うんだ。そうやって私ばっかその枠に入れてくれなくて仲間外れみたいでむかつく!」
友「ごめん。でも私も狩野のこと変だと思ってるし、自分のこと普通だと思ってる」
私「えっ」
裏切られた気分である。
そんだけ変って思われたくないって意識しといて無自覚かよ。
まぁ、ただ、互いのことを変な奴だとは思ってるらしい。
私「逆に考えるんだ。世の中には変り者ぶりっこが大勢いて、無理して変になろうとする奴が大勢いる」
友「あ、じゃあ狩野はそういう人らの理想だし、無理しなくて変人なんだね」
私「お前もだよ…」
ちょっとナチュラルに悪口言うのやめて。
そんな友人はドルオタ。
友「この前内定者説明会みたいなセミナーがあって、一緒に働く人らに変な奴って思われたくないじゃん。でも自己紹介とかするって言ってて。今、趣味とかアイドルしかないし、アイドル趣味とか言ったら確実に浮くし」
私「で?」
友「映画鑑賞って言った。アイドルってさえ言わなきゃ変な奴って思われないだろうと思ってたんだけど」
私「だけど?」
友「ディスカッションで出したアイディアを笑われた。いや、採用されたけどさぁ。あれ確実に『こいつ変な奴』って笑い方だよー。発表者私にされるし超恥ずかしかった」
でも友人の出したアイディアってのは普通に面白いかったです。
真面目なオカタイ発表が続く中友人の班だけくだけてて恥ずかしかったらしいが、真面目ぶって思ってもないこというより全然面白いじゃん。
で、そんな話をしたのがお昼。
その日の夕方、美容師に変って言われる私。
私「美容師の兄さんにバイトしてるって言ったら『バイトも変わってるんでしょ』って言われた。バイトもって何だよ…」
友「え、あの短時間で?やっぱり変はバレるんだよ」
変はバレる。
その日の結論でした。
でももう変人扱いされんのも飽きてきたんだけど。
周りが勝手に面白がって、話のネタにはなるけどさ。
別に私は面白いこと言おうと思って発言してない。
だから「面白くないよ」って言われても、笑いを取りたくて発言をしてるわけじゃないから「それは残念ね」としか言えない。
この「残念」っていうのは、私が面白いことを言えないくて残念がってるんじゃない。
私の発言を面白いと思えなくて君が残念がってるんだ。
確かに私は人と違うことを言いたがるしやりたがるけど、ちょっと一般論からズレたこと言うだけで鬼の首取ったかのように「変な奴!」って。
面白いというポジティブな意味で使われているのだろうけれど、その「変」という言葉にある排他的な意味が全くないわけではないでしょう。
人を変人っていうマイノリティの枠に据えて自分をマジョリティにしたがってるのか。
そんなに皆と一緒が良いのか。
でも人はそもそも個々に違うものだろう。