「父と弟と時々母」
ジョーカーの息子ディーアが秘境を出って弟の世話をするお話。
時間軸は、ディーアが秘境で少し成長した頃にカンナが産まれて初めてカンナに会いに行くお話。
ディーアへ。
家族が一人増えたぜ。今日からディーアは、兄になるぜ。弟の名前は、カンナだ。
近日に迎えに行く。予定をあけておけ。
弟と顔をあわせる。
父ジョーカーより」
父親に連れてこられ母さんの拠点の城に着いた。
「ディーアよく来たね。また大きくなったね。」
赤ん坊を抱き抱えた母が父と息子を迎えに来てくれた。
「母さんは、元気そうだな」
「ディーア弟のカンナだよ。起こさないで優しく抱き上げてみて」
しわくちゃの赤ちゃんを両腕で抱える。
子供のディーアには、赤ちゃんがずっしり重く温かさがあった。
「母さんの腕じゃないのによく眠るなぁ。」
規則正しく寝息をたてる。
「カンナがカムイさんに似て可愛いだろう。」
「父さんに似ないで可愛いぜ。母さんが赤ん坊の頃を見てるみたいだ」
「あぁん。俺に売り言葉で。カムイさんに買い言葉を言うようになったのかディーア。カンナをおろせ鍛練する」
「やだよ。めんどくさい。」
「ディーア。そろそろ昼ごはんの時間だから一緒にごはんにしましょ。ジョーカーも今日は、四人で初めて一家でごはん食べましょ」
「はい。カムイさん。ディーア食堂にいくぞ。」
母さんの一声で鍛練することが免れカンナを抱えて食堂に行く。
「ジョーカーは、座って。」
「カムイさん。何故です。」
「ジョーカーは、ゆっくりしてていいよ。今日は、ディーアに母さんの手料理を食べさせたくて用意したもの。」
父さんは、母さんの指先のばんそうこを見て青ざめた。
「なぜ料理をする時は私に声をかけてもらわなかったのです。私に声をかけてくれでばサラダ一つでもスープ一つでも作る手伝いが出来たのに」
「ジョーカーは、私のためになんでもしてくれて嬉しいよ。ディーアがカンナに会いに来るって聞いたときは、どうしても家族四人揃ってお母さんのように手料理を食べさせてあげたいの。」
「カムイさん………ディーア母さんの手料理をよく噛んで食べれ。」
「ジョーカー。ごはん食べ終わったらお茶淹れてもらってもいい?」
「かしこまりました。カムイ様」
父さん口調変わってる。
母さんが料理を運んで父さんの隣りに座った。
数分しないうちにキューと声をあげて椅子から倒れた。
「カムイ様!!」
父さんが母さんを部屋に運ぶ。寝巻きに着替えさせてベットに寝かせる。当然俺は、カンナを抱き抱えて外にいた。
「あのとき私が姉様に料理を作るのを止めっていれば。ジョーカーさんごめんなさい。」
サクラが水の入った桶をもって父さんに頭をさげた。
「カムイ様もうしばらくお休みください。」
「ジョーカーごめんなさい。」
「なぜ謝るのです。」
「ジョーカーの寝ている隙に料理の準備をしていたからこうなってしまったもの。ねぇジョーカーディーアに鍛練お休みして二人の子守りをお願いできない」
「大丈夫です。カムイ様がゆっくりお休みなさって子供の世話をおまかせてください。」
外から父さんの声が聞こえた。
カンナが驚いてくずった。
「よーしよーし。」
くずるカンナを落ち着かせようと歩いた。
なかなかくずるもんだから城の外へ出ていった。
岩の上でようやく眠ったカンナをおろした。
少し腕が痛い。赤ちゃんは、重いし言葉が言えない代わりに泣き声がうるさいし。母親譲りの髪を引っ張られた。
赤ん坊のカンナが時間の流れが異なる秘境に育ってる日は、いつだろう。明日か。来週か。一月後か。一才頃か。
今日ディーアが赤ちゃんの状態でカンナに会うのは、最初で最後かもしれない。秘境にカンナを預けたとする。次にカンナと再会した時カンナは、いくつになってるだろうか。
子供の年齢か。自分より年上になってるのか。カンナが年上になったらディーアは
「おや坊お父さんとお母さんは、どうしたのかな?赤ん坊と一緒とは、家出でもしたのかぃ?」
「違う。」
「最近幼い子供と赤ちゃんを拐う売人がうろついてるからお姉様がお父さんお母さんの所まで連れて行ってあげるよ。」
「白夜広場に行った父と待ち合わせしていること思い出した。じゃこれで。」
カンナを抱き上げて走った。おばさんの猫なで声が不気味に聞こえ。
「お前ら今だ!!」
前方からノラフェストがディーアを囲った。
ディーアは、ノラフェストの足をすり抜け一目散に走った。
「追え金づるを逃がすな!!」
前からペカザスナイトが3人ディーアの目の前におどりでた。
後ろから年増女率いる賊。まえからペカザスナイト。幼いディーアは、絶体絶命だった。ディーアは、恐怖から目を閉じた。
いつまでも来ない傷みの感覚に不思議になったディーアが見たのは、落ちるペカザスナイトの3人。
「ディーア!無事か!!」
ヒノカのペカザスに乗って父が上空に現れた。
「弓兵赤髪のペカザスナイト落とせ!!」
蒼い矢が年増女と賊を撃った。
「ディーアもう大丈夫。賊は、撃った。もう怖くない。」
タクミがディーアの前に現れた。
ヒノカにお礼を言って父がディーアの元へ駆け寄った。
「ディーアここは、秘境じゃない。安全な所へ離れるじゃねぇ。どれだけ心配させた。」
「父さん痛い。」
父が肩を両手で捕まれて痛い。父の両の手から震えが伝わった。
「先の賊に拐われたらどうする気でいた?お前の軽はずみな行動でお前もカンナに何かあったら俺とカムイさんは……。帰るぜ。」
ディーアの腕からカンナを抱き上げる。カンナは、あーと言いジョーカーに顔埋めた。
「ディーア!俺の荷物からオムツ出さ。カンナが漏らした!!ぼさっとしねぇではや
く!」
首をディーアの方に向けジョーカーは、声を出した。
父の着ている服にも手にもカンナのしっこの匂いがした。
カンナのオムツ換えた後ジョーカーは、カンナを城に帰るまで抱き抱えてもいいと言われディーアは、笑うカンナを抱き抱えていた。
城に戻ったあとお腹が減り母さんの手料理が食べたいと頼んだ。
「食べ終わったら、母さんに言えよ。」
このあと母さんの初めて食べる料理の味は、忘れられない何かを間違えた味がしていた。