シノノメとススガゼが会話している間にサイゾウは温泉を出た。
温泉近くに食堂に向かった。
「あら?サイゾウさん。」
食堂にカムイが当番をしていた。
「カムイか。」
「何を食べますか?」
「激辛刺身とおにぎり。」
「はい。ジョーカーさん。」
カムイが奥に入るとジョーカーの「お任せください。」の声が聞こえた。
「はいおまたせしました。どうぞ。」
「あぁ。」
カムイの手料理はどれも鋼の味になる。だけど食堂の当番にあたると休むわけにもいかなかった。
注文した味はどうしてもカムイは作ることが出来ない。だからジョーカーが注文した味を作り。それをカムイが出す形になる。
「馳走になった。カムイもうひとつ。」
「おかわりですか?」
「持ち帰りがしたい。」
「はい。何にします。」
「桃のジュース甘味と桃の大福と炊き込みご飯のおにぎりを頼む。」
「サイゾウさん甘いものが苦手じゃないのですか?」
「タッパーを出せ。それで持っていく。」
「はい。」
区切り。
温泉は気持ちいい。仕事の疲れを癒すに最適な場所は温泉。
「おっサイゾウじゃないか。」
「兄さん。」
「シノノメ様。ススガゼも風呂か。」
シノノメ様はリョウマ様の長子で。カンナとカナの兄だ。
「なぁサイゾウ。カナ見てないか。」
「カナなら鍛治屋で手伝いをしている。」
「カナ様が武器を鍛えているのですか?」
「いやくじ引きの景品選びをさせている。」
「サイゾウもカナに手伝いさせているのか。」
「シノノメ様カナに手伝い目的を知っていっらしゃいますか。」
「カナだけじゃなくカンナも小遣い稼ぎの手伝いしているぜ。」
「カンナ様はカムイ様が大好きで。カナ様はリョウマ様が大好きなんですね。」
白夜王国軍なら周知の事実。親のことが大好きな子供は、ミドリコ。双子のカンナ。そのなかでダントツなのが双子のカンナ。
「カナが結婚相手を見つけたら父さんを理解させるの時間がかかりそうだ。」
「シノノメ様はカナの結婚相手に協力をさせるのですか?」
「俺が安心して、信頼ができる相手にしか協力しねぇ。」
「ではキサラギさんなら。」
「あいつはまだ子供だぜ。」
「ヒサメさん。」
「あいつは真面目だけど子供の相手が上手い。だけどカナが成長したら同じ状態になれるかどうかは、わからないぜ。」
カナと仲良しなキサラギも。竜に変身しても遊び相手になることが多いヒサメも一蹴された。
「シグレとディーアは?」
「カナはシグレと仲が悪い。ディーアは考えが合わない。」
歌姫の子も。敏腕執事の候補のディーアも豪快なシノノメの眼には合わないらしい。
「サイ‥グレイはどうなのですか?」
「グレイはダメだ。カナの身体にメタボになる。」
「腕も。流行りの菓子も。」
「ダメだ。グレイがカナの立候補になっても認めない。」
間髪入れずシノノメはキッパリと言った。冷静で切れ者のグレイの考えはシノノメには不一致。
白夜王国軍の息子組は、シノノメの審美眼には叶わなかった。
区切り。
前回のあらすじ。
リョウマさまの娘カナに脅され。子供にできる手伝いはないか考えることになった俺5代目サイゾウ。
監視は忍の仕事のいっかん。けっして母娘の風呂を覗き見したわけじゃない。勘違いするな。
バイ サイゾウ。