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「静蘭殿」
珍しい人に呼ばれた、と振り返る。
何かをたくらんだような顔に、見なかったふりをして逃げ出したくなったがそれもできないままにっこりと笑顔を張り付けた。
「なにか、ご用でしょうか?」
「ええ。あなたを探していたんですよ」
微笑む顔は何か企んでいそうだが、ニコニコと楽しそうだ。
これは覚悟した方がいいかもしれない。
「静蘭殿に、ぜひと思いまして!」
「はい?」
上機嫌で差し出されたものは、一目で上質と分かる衣だった。
あまりのことに拍子抜けする。
これまで下心から男性に贈り物をされることは数多くあったが、この相手、欧陽玉は貢物で気を引くような性分ではないし、何より彼にはれっきとした恋人がいる。
よっぽど虚を突かれた顔をしていたのか、玉はふふんと笑った。
「勘違いしないでください。私は美しいものが好きなんです」
「ええ…存じてますが?」
「あなたは美しいのに、それを磨こうとしない!嘆かわしい限りです!」
いつになく饒舌な玉だが、熱弁しているのは人の容姿。
正直放っておいてくれという気分で静蘭は眺める。自分が美しいこともそれを隠してるのも自分の意思だ。
言葉には出さず、苦笑しながら玉を眺め心の中で呟いた。
「あなたは良いかも知れませんが、実にもったいない!ということでおせっかいかと思いましたが、衣を一式作らせて頂きました」
ああ、お代金はいりませんよ。私の前できて頂けるだけで。
なんてニコニコと言われてしまえば、タダでこの上質な衣がもらえるならいいか、と思ってしまうのが静蘭で
「わかりました。気のすむまでお付き合いしますよ」
こうして度々静蘭と玉は連れだって買い物へ行ったり、屋敷に訪れたりするようになったのだった。
終わり
なったらいいなって話。
二人仲良しなの可愛いです。
お互い僕、私美しいって思ってるから波長が合えば合うと思っている