掃いて捨てる

0120 :彩雲国
モテモテ?(双玉)



「燕青って恋人はいるの?」


無邪気な秀麗の問いに燕青かたまる。
今同じ空間にいます!なんて言えるわけもない。
その恋人はというと射殺しそうな眼光でこちらを睨んでいる。
もちろん秀麗の後ろから。
ますます言えるわけがない。


「えっと…」

「おせっかいかもしれないけど、そろそろ可愛いお嫁さんもらわないと大変よ〜」

「…姫さん、俺のこと何歳だと…」



ひげをそって誤解は解けたはずなのに、と思わず今はすでに伸びたひげに手を伸ばす。
これでもまだ20代。後半だが20代。
まだ結婚しようと思えばなんとかなるはずだ。
もちろん今の恋人と別れるつもりも不義理をする気も寸分もありはしないが。



「ねえ、静蘭?」

「そうですね。お嬢様」



にっこりと笑う静蘭。
姫さん専用のその笑顔は悔しいくらいに可愛い。



「静蘭はいいのかよ?」



悔しさまぎれに静蘭に話を移してみる。



「静蘭はいいのよ!」

「なんで?」

「女心は複雑なのよ、燕青」



静蘭も不思議に思っているのか興味深げに話を聴いている。
女心?なんで?



「自分より綺麗な旦那様なんて…きっと複雑よ」



ああ、なるほどと。
姫さんの言葉に思わず深くうなずき、そうだよなーと返す。
てことは当分静蘭の女性関係は心配しなくていいのか。

しかし、姫さんに綺麗と言われ、少し嬉しそうな静蘭。
ああ、もう…なんでそんな時は素直に可愛いんだか。
女じゃなくて男が寄ってきそうな恋人に、やっぱり心配は絶えない。













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