ジニア先生さらっとパシオに来てるな…
「遺跡でナゾの石が多い」のかぁ…アルセウス関わってるのかな?
ウロウロしてる…見計らったかのようだ…
すっと現れて声かけてくる…まるで家電販売店の店員…
「ネオチャンピオン……なかなか、面白い試みですね」
スタジアムの中央で取材に応じる若い少年の姿を眺めつつ、観客席で頬杖をついた。
ここパシオで用意されている様々なイベントのうちの一つである、次代のチャンピオンを決めるバトルトーナメント。
せっかく来たのだからと参加したものの、くしくも初戦敗退という結果で今回は終わってしまった。
その後は、気持ちを切り替えてイベントシステムや集客方法、メディアへの広告宣伝などをチェックしていたものの、なかなか色々工夫してある良いイベントだった。
ダンデが開催に一役買ったらしい、というのも納得の、未来を見据えた催しといえる。
(こうして、参加者のひとりとしてのんびりできたのなんて……いつぶりかな)
「……温泉、ですか?」
冬の、とある一日のことだった。
まだ、本格的に雪に埋もれる前の、肌寒くなりかけの季節。セッカの外れにある小さな屋敷に、ふとNがそんな話を持ってきた。
「イッシュではあまり馴染みがないけど、カントーだとかジョウト、シンオウか、あっちでは一般的なんだって。ほら、湯治って言葉もあって、病気の治癒にもいいとか」
全国各地を回っているNは、時折こうして、いろいろな情報を仕入れてやってくる。
「…………。理由は?」
「そうだな、他の可能性を考えようか。まず事故の場合。船内に人を一瞬で黒焦げにするような発火物はないし、もし持ち込もうとしても、乗船時の荷物検査で間違いなくひっかかるだろう」
「ん、まぁね。じゃあ、自殺は?」
「まぁ、否定はできないが……死因がな。わざわざ貨物船の上で、一人焼死を選ぶというのは少々不可解だ。テロでも起こして、みな巻き添えにするならともかく……」
「……あんまり考えたくない」
※まだウォロさんは出てきていません※
目が覚めたら、そこは牢屋だった。
「は!? ……えっ!?」
ガバッ、と身を起こして、自分の両手にグルグルと縄が巻き付けられているのを見て、呆然とした。
だって、自分は。ほんのついさっきまで、黒曜の原野でポケモン調査をしていて――。
「あれ……いや、ちがう……」
そうだ、たしか。
オヤブンカビゴンに見つかって、あっちこっちと逃げているうちに、森の奥地の暗がりにいつの間にか飛び込んでいたのだ。
そうしたら、ひと気のないはずのそのあたりから、人の叫び声のようなものを聞いたのだった。
2024年に入りまして、
明けましておめでとうございます。
エムブロさんが4か月しかアクセス数が持たないため、
コツコツと数か月ごとに残していた記録が、
ついに12か月分集計できたため、ちゃんと年間分のアクセス数ランキングです。
おととしに引き続き、年末近くになるとどうにも更新頻度が落ちていますが、
変わらず訪れてくださる皆様に、心より感謝申し上げます…!
2023/12/23に送って頂いたメッセージ返答です
↓↓↓
パシオ島内、商店街。
明るい日差しの差し込む中、休日のどこかのんびりした空気を吸い込むように、レンガ道を歩いている時だった。
「えっ……ろ、ローズ委員長……!?」
「んん?」
後ろから突然呼ばれて、思わず振り返る。
この場所にやってきて少し経ち、かつての知り合いや新しい相手との関係を築き始めてきたものの、今の声は、その誰でもなかったから。
「きみは……ビートくんじゃありませんか」
「や、やっぱりローズ委員長……どうして、このパシオに」
「うん? そういうキミこそ、ジムチャレンジの途中じゃないのかい?」
「え……ジム……チャレンジ……??」
問いかけ返すと、ビートはぽかんと大口を開けて固まった。
※悪の組織編最終章を受けてのお話
「……逃げましたか」
ロケット団幹部がいた場所を一瞥し、チッ、と舌打つ。
彼は、戦闘中に突如なにごとか連絡を受けると、すぐさま姿を消してしまった。
残されたのは、消化不良のまま残された自分ひとり。
キュレムをボールへ戻し、子どもたちが向かった行き先へと目を向けた。
「フン……倒したんですね、あの男を」
忠臣である幹部が引いたのだ。おそらくボスであるあの男の指示だろう。
部下相手にウサ晴らしでもと思ったものの、それなりの使い手であった相手との戦いは、実力差を知らしめる前に終わってしまった。